青春詩集(第2章 愛)
             大阪の憂鬱
   気分爽快な朝、友に出会った
   俺は「おはよう」と声をかけた
   意外にも知らぬ顔をして行ってしまった
   何と不快なことか
 
   俺が公な用件で、とある友に手紙を書いた
   真っ赤になって怒っているような
   ポストの口の中に投げ入れた
 
   しかし
   幾日経てども返事は来なかった
   何と、その友の無礼さか、非常識さか!
   その時
   ふと、その友に裏切られた思いになった
 
   俺の公用の手紙だけを
 
   あの真っ赤になって怒っているような
   ポストが消化してしまったのだろうか・・・・
   まさか・・・・・・・!
 
   しかし、お前だけは違っていた
 
   非常識なところも無く、如才も無い
   何と理想なる人か!
   『絶望と思われる中にも唯一つの光明あり』
   “唯一つの光明”ってお前のことだろうな
   何本も何本も有った中で唯一つの光明・・・
 
   残りのろうそくは無残にも消えてしまっていた
   俺の一番大切な光よ消えてくれるな
   もし、できることならば
   無残に消え果てたろうそくの一本一本に光を
   灯せてくれ
   できることならば全てのろうそくに!
 
   しかし、
   全てのろうそくに光が灯った時
   お前の光はもう
   全てのろうそくと何ら変わらない
   光となってしまうのだろうか・・・・?
   まさか・・・・・・・・!


 
                          愛は
            愛は、清らかな白百合の如きものであり
            恋は、人間のつまらない心の戯れである
 
            怒りは、神が人間に与えて下さった特権であり、
            堪忍は、人間が神に押しつけた義務なのである
 
            死は神に対する服従であり
            生も神に対する服従である



      入道雲
   夏のある日の昼下がり
   何をするでも無く
   ただぼんやり、もくもくと上がる
   遠くの入道雲に目をやっている
   何を考えるのでも無く、ただぼんやりと
 
   ふと、机の上の額縁に目をやると
   君が微笑みかけている
   あの日の君との山歩きの思い出が
   あたかも海岸の波の如く
   寄せては引き返して行く
 
   そして、再び
   雄大な空と、堂々とした入道雲の
   自然の織りなす調和の美の中に
   心地良い陶酔を覚える
 

       
                      恋 人 
                 君を知ったのは、つい先日のはずなのに
                 何故か幼馴染みな気がしてなりません
                 君と山歩きをしたのは、初めてのはずなのに
                 以前に幾たびか
                 何処かを歩いたような気がしてなりません
                 君を知ったのは
                 つい、先日のはずなのに
 

             三田浜
        香住の浜辺に我一人立ちて
        北斗の星を仰ぎぬ
        君を思う心に
        虚しくせまる潮騒
        ああ、君もやはり
    別れ行く運命にある人なのか
        静まることなく、繰り返す漣よ
        そっと我に教え給え
        そっと我に・・・・・・・・・・・・・・・・
 

                 秋
                 過ぎ去った夏の日の思い出が
                 秋の深まりと共に色褪せて行く
     
            秋には秋の思い出を残したい
                 紅葉に彩られた千年の都路を
                 君と心ゆくまで歩けたらいいなと思う
 
                 是非、京都を訪れてください
            秋には、秋の思い出を残したいのです
 

        春 愁
        艶やかな貴女のひとみ
        限りなき遠くをみつめ
        この渚の里の夕暮れに
    何を求め何をか祈らむ
 
        ひそやかな この殿山に
        いつの日か春が訪れ
        咲き乱れたサフランの華は
        美しき貴女の面影
 
        一年と残り少ない
    殿山に貴女を思う
    この渚の里の思い出を
        いつの日か省みるために
 
        この渚の里の思い出を
        いつの日か省みるために
   


                      虚しき戯れ
                 俺の心から虚しい世界が消えるとき
            俺の心には愛が芽生えよう
            虚しい世界には恋だけが存在して
            それが幾重にも限りなく広がる
            広がった恋は何かに突き当たり
            また元の位置に異なった恋を作り上げる
            その繰り返しの戯れが
            やるせなく俺の心に響きわたる