青春詩集(第4章 安堵)
        
     多忙の幸福

  美しき紅葉の季節も過ぎ、北風の吹き抜ける頃となった

  昨年の今頃は“クラス会云々”なんて言っていたのに、
  あれからもう一年、全く月日の流れは速い

 

  今日でクラブは打ち上げ

  前期試験以後、クラブの行事に振り回され、
  実を言うと紅葉の季節なんて何時あった?と問いたいくらい

  もちろん、勉強の方は留守

  専らスポーツの秋であった

 

  多忙の過ぎ去った現在、虚脱感が我にペンを執らせているのかも知れない

 

  何か知らないけど、パッと過ぎ去った今年

  クラス会幹事の変な気持ちで始まった今年

  せめて、締め括りぐらい何か良い事が有っても良さそうなのに、
  今のところ何もない

  何か良いことなんて待っていても出てきやしない

  自分で創り出すものなのかも知れない

 

  忙しい時、即ち、数少ない休日を切望している時程

  素晴らしい時はないと思う

  多忙の過ぎ去った今、“多忙の幸福”と言うことを痛感している

  そんな訳で、来年も我にとって多忙の年であるよう祈らざるを得ない

 

  忙しい事を嫌がる人は、自ら幸福を取り逃がしているようなもの無論、
  幸福なんてハッキリ規程は出来やしない

  しかし、うっすら分かるような気がする

 







                錯 覚

             大きく広がった秋空を眺めていると

             そのすぐ下には本宮が在るんだなって

             故郷への錯覚に陥る

             幼き頃から、馴染み深いその山を眺めては

             憂愁を、悲しみを、苦しみを和ませてきた

 

             四歳からの我の全てを見つめていた山は

             十九歳になったとき

             「もう、お前は一人前だよ」って

             我が三河から出ることを許してくれた